2005年04月23日
阪堺電気軌道
大阪市内での仕事が終わってから上司や他社の方々と別れ、天王寺に向かいます。目的は堺市内での存廃問題があがる阪堺電気軌道です。天王寺付近は高校生の頃から18切符の旅でよく通ったのですが、当時存在していた南海天王寺支線には一度も乗った事がなく廃線後に興味を持ったという例がありました。今でも天王寺駅付近に残る天王寺支線の廃線跡をみる度に惜しいことをしたと後悔してしまいます。そんな経験から最近の鉄道旅行のスローガンは『気になったら乗れ』となっています。経路は天王寺駅前(上町線)→住吉(阪堺線)→浜寺駅前→(南海線経由)→住吉公園(上町線)→住吉(阪堺線)→恵美須町です。土曜夕方、1日乗車券で実際に乗車してみると天王寺からしばらくは立ち客も多く利用者の世代も幅広く、通勤通学や買い物帰りの様です。大阪環状線との接続駅起点なので周辺はもの凄く渋滞するかと思いましたがマイカー利用者のマナーも良く見えました。私の乗車した電車は途中の我孫子道止まりでしたが、そこまで徐々に人が減りますが15名の乗客で終点に着きます。そこで浜寺駅前行き列車に乗り換えますが乗客が10名と少な目。途中での乗降があっても徐々に人が減り浜寺駅前でおりた客は4人(乗車記は明日追加します)です。やはり堺市内が少ないのでしょうか。ところで堺市内区間にはセンターリザベーション(道路中央における走行部で敷石や植木などで道路と分離されているもの)がある事を初めて知り驚きました。これなら快適に走れそうだな、と思ったのですが…この区間、とにかく信号が多い。交差する道路が多いから当然ですが、信号待ちも多すぎです。軌道を最優先させるシステム作りをしないと厳しそうですが、この交差する道路対策として堺市は欧米のLRTの様な立体交差もイメージしているのではないでしょうか。見た目がきれいで立派なセンターリザベーションを設置している事自体は評価に値すると思えます。
住吉公園から1停留所先の住吉に向かいますが、同停留所での降車時を見ていると十数名くらいの客がいました。対都心部へは南海線利用者が多く、阪堺は凄く少ないかと思いましたが、南海天王寺線が廃止され南海電鉄エリアから外れた天王寺に向かう客にとっては乗換も無く、1事業者の路線なので他のルート(「南海+JR」や「南海+地下鉄」)より運賃も安く重要な乗り物なのでしょう。しかし、仮に平行路線から都心部への運賃が阪堺電気軌道より安かった場合、阪堺の様な立地では厳しい状況になると思います。まあ日本の場合なら鉄軌道事業者の数が整理されない限りそんな事は起こらないでしょうけれど…
この会社・路線は南海電鉄からの分社化によるものですが、会社をつくった事=事業が成り立つと見込んでいたはずです。既に廃止届が提出された南海貴志川線においては分社化という話も特になく、良くわからない次の事業者の選考が行われております。阪堺電気軌道設立時以降の鉄軌道交通利用者の減少が大きすぎて、分社化によるコスト縮減効果が期待できないのでしょう。
ところで堺市は外郭団体の財団法人堺市都市整備公社を窓口とし『堺のチンチン電車を愛する会』という団体をつくりました。一般市民から会員を募り、阪堺電気軌道をイベント等によって活性化させる為の活動を行っています。スタイルとしては、加越能鉄道万葉線の活性化を目的とした『万葉線を愛する会(現存します)』を新湊市が中心となり立ち上げて会員を募った時と似ており、かなり参考にしていると思います。この様に行政と市民により構成された組織は第4セクターといいます。その万葉線は後に鉄軌道事業者である加越能鉄道が事業廃止・譲渡し第3セクター化されました。新湊市と異なり、堺市の様に交通機関の選択肢の多い都市では存廃問題に対する住民の意見が地区によって分かれそうな気もします。
切符情報ですが、阪堺電気軌道発売のものとして、紙製スクラッチ式の1日乗車券が大600円・小300円と、紙製の回数券が1区・2区それぞれが大2000円・小1000円がありました。
又、『堺のチンチン電車を愛する会』の会員(年会費3000円)になると、同会会員向けオリジナルデザインの紙製スクラッチ式の1日乗車券と紙製の回数券、会員証が入会時に送られてきます。
4月23日 我孫子道
